事例1の対応方法(1) さて、どうする?
相談者が感情的になっているままでは、一方的な話に終始してしまうので、いったん落ち着いてもらう必要があります。まずはこちらの言い分や考えなどを挿(はさ)まず、相談者の言い分を十分に聴くことで、多くの場合落ち着いてもらえます。
ただし、初めから攻撃的で、不当な言い分や要求などをぶつけてきて、全くこちらの話を聞くという状況にならない場合もあります。その際には相談者に飲み込まれない対応が必要です。
・落ち着いて話ができる場所への移動を試みる
対応者が、相談者を単なるクレーマーと位置付けて、こちらに聴く耳がない状態だと、解決には到底結びつきません。電話をかけてきた、あるいは窓口に来た、ということであれば、話したいことがあって接触してきたことに変わりありません。まずはその話をじっくり聴きますという態度を示すことが必要で、それが相談者の態度を軟化させる方法の一つになることがあります。
きちんと聴きたいからという理由を告げて、電話であれば、周囲に雑音がない部屋の電話に転送して、対応者がそこに移動して話を始めます。窓口であれば、他の人の目がない別室に移動して対応します。こうしただけで落ち着いて話ができるようになる人も結構います。
なぜ落ち着いたのか、相談者に理由を聞いたことはありません。おそらく、自分に向き合ってくれるということがわかって安心したということもあるでしょう。周りに人目があることで負けられないという気持ちが鼓舞されているような人であれば、人目がない場所で話すことで、変に虚勢を張らなくてすむ状況になります。
いずれにしても、複数で対応することが望まれます。電話であれば受け答えは一人がするとしても、スピーカーフォンにして、もう一人はそのやりとりを聞き、メモを取りながら対応を一緒に考えます。
対面であれば二人でじっくり聴きながら片方は記録も取る、ということにすれば対応者にも安心感があります。複数で対応し、記録も残っていれば、後から言った言わないの争いになった場合の備えになります。