2-4.非日常を味わえる「筋トレ」という魔法
ネットやテレビ、アニメを見ながら「非日常」に憧れてはいないだろうか。代わり映えのしないしょっぱい毎日に飽き飽きする気持ちは誰しもあるだろう。
それもこれも、いま安全な場所にいるからである。私たちが現在生活しているのは、安全度が格段に増した文明社会なのだ。
そして運よくこの日本に住んでいるあなたは、さらに幸福である。道を歩いていても、いきなり銃撃を受けることはない。運悪く、地雷を踏んでしまうこともない。蛇口を捻れば一応安全な水が、どこでも飲める。加工食品や保存料や添加物の危険性を一旦置いておけば、餓死することもまずない。ありとあらゆる場所に、食べ物が溢れている。
異物や外敵がやってきて、その困難を解消する。生死に関わる生活の課題を解決する。このような、一昔前では当たり前に発生していた生命の循環が今の時代はなくなった。
本来、人は何かと闘わなくてはならない。だがそれはもうない。
何か課題を解決しなければならない。だが、それも意識して見つけないと、見つからない。いや下手に挑戦するとかえって状況が悪化するのでは、という不安が募るだろう。
戦わずにのんべんだらりと生きられるのは、いいこと……と思うだろうか?
改めて、周囲の大人を見てみよう。大多数が常にイライラしている。不安で猫背になっている。もっと言えば、現代の小学生高学年以上も、この不安イライラ集団に含まれるかもしれない。
人生において「ピンチ」に遭遇することは、心の健康を保つために必要なのだ。しかし、安全であることを捨ててまで窮地に陥ることは求めないし、求められる機会も現代では稀になった。
そのため、我々は身体を動かさず、ワイドショーのくだらない情報に刺激を求めたり、空想上の物語にひたってしまうのである。しかし、何だか満たされずに不安でイライラしている。
世界がこうなってしまった理由の1つがある。
それは、「人間ならば」幼児のように物を投げたり、暴れたりできないという制約である。一部の大人の中には、そんなことをする輩もいる。しかし、そんな人間は、即社会から爪弾きにされて、刑務所にぶち込まれる。
ではどうすればいいのか? このイライラ、何だか分からない不安を抱えたまま、生きていかなければならないのか?
いや、解消できる手段が現代にはある。その答えは、もちろん分かるだろう。筋トレだ!
次回更新は4月21日(月)、11時の予定です。
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