【前回の記事を読む】何も考えなくていい。就職やら転職なんて考えられないならそれでいい。未来を見なくていい。これから、あるヒントを話すから…
第2章
2-3.運動はうつ病に効果的?
運動そして筋トレが「心」に効くことは、科学的な理論も確立されている。続いては、
●脳のセロトニンが増える
●心肺機能向上により、ストレス下における自律神経活動の安定化に繋がる
●その他の追加効果
について話していこう。
●脳のセロトニンが増える
まずこれである。運動すると、脳の中では幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが増え、海馬の神経新生が促進される。加えて、運動によって脳内のトリプトファンが増える。このトリプトファンは、セロトニン分泌を高めることに貢献する。
このようにセロトニンが増えることで、抗うつ効果が発揮される。つまり、運動には二重三重の抗うつ効果があるのだ。
●心肺機能向上により、ストレス下における自律神経活動の安定化に繋がる
不安は脅威に対する身体の反応である。不安になると、身体を調整する自律神経系、情動を司る扁桃体の活動が活発になり、動悸や震えなどの身体の反応が起こり、さらに不安を感じやすくなる。
しかし、有酸素運動することで、状態不安(ある特定の不安を感じている不安)と特性不安(その人が不安になりやすい傾向)の両方に改善効果が見込まれている。
有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳などだ。このように、運動は不安そのものを減らすだけでなく、不安の感受性を減少させ、不安になりにくい心身づくりに役立つのだ。
●その他の追加効果
さらに、運動には追加効果がある。運動すれば、前頭前野の脳の血流が増加する。これは、自己統制感覚や自己効力感を高める。
また、一章で紹介した通り、筋トレを行えば、様々なホルモンの分泌が高まる。テストステロン、アドレナリン、エンドルフィン。これらの各種ホルモンは、神経内分泌系に変化を与える。これにより、うつ病で低下した神経活動を活発化させるのだ。
ここまでをまとめよう。
どんな薬よりも、あなたの心を明るくし、落ち着かせるのは、運動、つまり筋トレなのだ。
そこには辛い副作用はない。あるとすれば、翌日の筋肉痛(これもいずれ虜になる)と、今着ている服が入らなくなることくらいだ。