【前回の記事を読む】「伯父さんが亡くなった」「お母さんが入院した」…娘から立て続けに入った連絡。

第四章 2015年(後)

11月19日(木)
イレウス

兄の葬儀は1時間で終わり2時過ぎには出棺した。

火葬場はすぐ近くにあった。炉が閉じられ読経が終えるのを見て、徳島空港へ引き返した。

手持ちのチケットは18時55分発、羽田到着20時10分のフライトであった。

これだと、良子の様子を見に行くことはできない。病院の面会時間は20時迄なのである。姉たちも早く帰れと言った。

兄の骨を拾うことはできなかったが、そこで失礼した。

幸い、16時25分発、羽田17時40分着の便に乗り換えることができた。

しかもこのフライトが稀にみるスムーズさで、離陸も数分早く、羽田着陸も定刻より5分ほど早いというものだった。あい子をJRの駅で拾って、それでも19時前に病室に入ることができた。

良子は元気がなかった。

今回の一連の動きの中で一番銷沈した姿に見えた。

愚痴は言わない。笑顔を見せようとするのであるが、表情が硬い。

それは私も同じであった。

マラソンを完走した直後に、もう一度走りだせと言われたようなものだ。