【前回の記事を読む】あまりに意外な結論にアインシュタインも初めは半信半疑だったようだ。しかし後年の講演では自信に満ちた口調で...
第2章 考え得る多様な対応へのアプローチ
1.人間は粒子の集まり
ここでまず第1番目の「我々はいったい何者か?」について考えてみたい。先述の通り、E=MC2乗のEとはenergyで、エネルギー=活動=キャリアと解釈できる。
またMとはmassで、質量=粒子の集合物=星=鉱物=生命体=人間と解釈できる。Cはceleritasで光速を意味し、換算係数、特定数である。
ということは活動=人間×換算係数となり、この大宇宙にある全ての粒子の集合体であるもの(当然その中の一部である我々人間も)は活動することと同じ意味になる。
ただ厳密に言えば我々が知っている粒子は全宇宙の5%である。残りの25%の暗黒物質(ダークマター)と 70%を占める暗黒エネルギー(ダークエネルギー)については不明である。
そこで現段階での第1番目の「我々はいったい何者か?」の私の理解は、「宇宙にある全ての物・者は活動する物・者であり、我々人間(mass)の存在とは、活動(energy)のことである」となる。
人間が消えれば活動も消える。逆も成り立つわけで、活動がゼロの状態は、人間自体もゼロの状態であることをE=MC2乗は示しているのだ。
次に2番目の「生命とは何か? 人間とは何か?」を考えてみたい。
ここではマサチューセッツ工科大学(MIT)理論物理学の教授マックス・テグマーク氏にご登場いただく。以下、彼の著作『LIFE3.0』からの要約である。
「目標の究極の起源を物理学的に探っていこう。一見したところ何の目標も持たずに跳ね回る素粒子の集団に過ぎなかった初期宇宙の物理から、どの様にして目標指向的な振る舞いが出現したのだろうか。
目標指向的な振る舞いの究極の根源は物理法則そのものに見出すことができ、生命が関係していない単純なプロセスにもそれが現れている。これを物理学ではフェルマーの原理(1662年)といい、光線の振る舞いを予測する数ある方法の一つとなっている。