≫09/12 19:34
≫お母さんが救急車を呼びたがっている。
≫激痛はないがずっと嘔吐を繰り返して参っている様子。
≫≫09/12 20:05
≫≫宇都宮、出た。
≫≫様子は? 藪医者どもめ! 重大な病気かも知れん。
≫09/12 20:13
≫今救急車出発した。お母さん自分でよくしゃべってるし顔色はいい。
≫だいじょうぶ。みなと赤十字病院へいく。
≫09/12 20:22
≫いま病院に着いた。
≫≫09/12 21:55
≫≫いま家に着いた。
私は結婚式で酒をたっぷり呑んでいたし、雨も降り続いていた。
病院のどこを訪ねれば良いかも分からず、行き違いになる可能性大だったので、自宅待機することにした。普段持ち歩くカバンの中には自宅の鍵、SECOM解除キーを入れてあるのだが、この日は結婚式で、カバンを持たなかった。あい子の鍵一式を、決めてある場所に置いておくことを指示していた。
≫≫09/12 23:29
≫≫カギかけてある。帰ったら携帯へ電話してくれ。
私も動顛していて、私が受け取った場所へ置いておけばよかったのである。気が回らなかった。そして実際にはあい子は、良子のカギを持って帰って来た。
私は携帯電話を耳元において、寝てしまった。
間もなくあい子は帰ってきた。
割と平気な顔で、「お母さん、入院した」と言う。
「苦しんでないの?」
「大丈夫。しっかりしている」
我が家族の、おそらく際立った特性は、「心配できない」という性格である。〝杞憂する〟、〝思い悩む〟という神経が、全員、見事に欠落している。そのまま私は寝入ってしまった。