【前回の記事を読む】取締役支店長が飛んで来て「私の権限で即刻1億円の融資をします。ご心配掛けました」!? まさか借金する側が頭を下げられるとは…
2015年
9月16日(水)
この10日間
9月4日の深夜、あい子が、「お母さんを病院へ連れて行ってくる」と言った。
私は完全に寝ぼけていた。
私たちは普段は同じ部屋で寝ているのであるが、夏の間は気ままに、涼しい場所を選んで寝る。寝具が少なくて良いことが、身軽に場所を選ぶ理由である。
私は2階の北側にある自分の読書・パソコン室で、十分に呑んだ酒の幸せに満たされて、熟睡していた。
良子はおそらく一番条件の良い1階和室で寝たのだと思う。一番自然に涼しい部屋である。
良子に異常はまったくなかった。
私たちの夜は早い。9時過ぎに寝て、4時には起きる。
夕食を終えると私は自分の部屋に入り、パソコンを覗き、少し本を読むうちに、睡魔が襲う。くずおれるように、ほとんど〝昏倒〟状態で、いきなり熟睡に入るのが常である。不眠症というものは私には理解できない。経験がない。
最近、耳が遠くなっている。
「お父さん、お父さん」というあい子の声が、遠くでしたように聞こえたが、実際は頭の上であった。
「う、う?」
「お母さんを病院へ連れて行ってくる」
そのときは既にタクシーが到着していたようである。私には何も聞こえていなかった。そのままあい子は出て行き、私はだらしなくも、再び眠りに落ちた。
目が覚めたのは3時過ぎであった。