【前回の記事を読む】筋トレすれば、今からでも成功できる? 真っ当で健全な社会生活を送れる? …ノー! 筋トレは何も解決しない。だが、それでも良い
第1章
1-4.どん底からでも得られる唯一の自己肯定が「筋トレ」
自己肯定感や成功体験は、子供の頃に積むべきだと言われる。
大人になってからは、成功体験なんてなかなかないだろう。おそらく本書を手に取った方や、なんとしても自らを変えなくてはいけないと考えている方は、「達成感」「自己肯定」「成功体験」を、最近はとんと経験していないはずだ。
小さい頃の記憶を辿ればあるかもしれない。だがここ数年、十数年は、成功体験に全くの無縁な人も多くいるはずだ。
親や身内に無条件で肯定してもらわない限り、今の社会の中で自分の存在価値、存在意義を確認するのは難しいのである。社会は複雑化し、褒められる機会は少ない。
成果を求められ、自分自身が何をどう達成したのかを声高に主張しなければならなくなった。
頑張ったんだからいいじゃん!はもう通じないのである。
しかし、「私は誰にもできない、こんなことを成し遂げました」と、堂々と自分の価値の根拠を説明できる人などまずいない。日本人は謙虚な方だ。誇大広告で、ホラのように「私はこれができた!」と主張することは苦手だ。
だからこそ、無条件に承認してくれる何かを私たちは常に求めている。
自己肯定感を得る手段が、宗教であった時期も過去にはあった。現在は、恋人や配偶者によって承認を得ている人が多数派であろう。
しかし、無条件に、永遠に、あなたを承認してくれるあなた以外の人など存在しない。人は変わるのだ。そして、あなたは、あなた以外の他人を決してコントロールできない。
人は人を変えられないし、人が変化することを止められない。
あなたを無条件で褒めてくれた親も、やがて老いて、あなたを否定してくるかもしれない。
誰だって「特別」になりたい。自分を誇りたい。
しかし同時に、私も含めて大多数の人類は、「自分なんか何者でもない」「なんて平凡なんだ」という自己否定の気持ちを常に持っているのではないだろうか?
誰もが物語の主人公ではない。それを知ることが、大人になるということだ。