岩崎が立ち去ろうとするところで質問した。

「あのう、一つ聞いておきたいことが」

「ハイ、何でしょうか?」

「イワサキさんは……」ザキと濁らない点を強調して聞いた。

「年齢はおいくつですか?」

「私の年ですか?」

「ええ」

「いくつに見えます?」

逆質問はええねん。

「あ、すいません」やや不機嫌になった喜之介の顔を察したのか、岩崎はすぐに謝って年齢を言った。

え? 思わず心の声が出そうだった。

四十三歳。自分より十歳も若い。信じられなかった。

年齢を若く言っている可能性もあるかと思ったが、その必要があるのか疑問だし、今度会った時に改めて確認しようと思った。

そして、イケメン椿沢と同様、その夜、書かれた携帯電話の番号にショートメールを送った。「後日、改めてお会いしましょう。日時場所は追って連絡します」文面もイケメン椿沢と全く同じだ。

「おおきにありがとうございます。よろしくお願いします」 返ってきたメールの文章にもオッサン臭が噴き出ていた。

   

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