就職実習で近くの老人ホームを見学した時「カッコイイ」と思ったという。
介護をネガティヴに思っていた私は、若い青年が「カッコイイ」と表現したことに感動したのだ。彼のこの言葉は私を一歩も二歩も「介護」「老人ホーム」に引き入れてくれた感動でもあった。
そしてさらに年配の女性スタッフが入ってきた。彼女は東日本大震災の直後、大学生だった息子さんと一緒に被災地にボランティアに赴き、その時介護の仕事につこうと決意したという。
彼女が言った言葉が「ありがとうと言ってくれてありがとう」だった。
先の「ありがとう」は入居者の感謝のありがとう、スタッフのやさしさがあって初めて出る感謝である。後のありがとうは入居者の感謝を聞いて喜ぶ介護側の人のありがとうである。
私は彼女の言葉に目を見開かされた思いだった。介護は一方的に提供されるものではない、相互の関係性、あたたかいつながりを見たのである。これが「循環型」に気付いた第一歩だったと思う。
この循環に気付くとそれはどんどんと奥行きと共に広がりを持っていった。スタッフたちの言動を見てほっこりした時には私はなるべく当人にそのことを具体的に伝えるようにしたのだ。自分の仕事を評価されることはモチベーションになってさらに意欲を持たせてくれるからだ。
現役で働いていた時に私はこのことを学んでいた。
それで当のスタッフには口頭で伝えることもあったが「恋文」と言って手渡ししてきた。できれば私は今のホーム長にもそれを伝えたかったのだがこれはあまり成功しなかった。