【前回の記事を読む】部屋に転がっていたコインを手にぽろもきの冒険がスタート! スープにぴったりのパンを求めて港に向かって歩き始めるとそこには……

家族の中の孤立

少しの間沈黙が続いた。その間に、のとがぽろもきに話しても大丈夫かどうか迷っている様子が感じられた。ぽろもきの顔や服装や雰囲気から判断していることがわかったので、ぽろもきは黙っていた。そして、直接のとを見ないように、自分の靴の先を見つめながら息を殺して待った。

やがて、のとは、自分の生い立ちを語り始めた。

3歳の時に父親が事故で亡くなり、母はすぐに再婚したが、相手の男性がのとに冷たかったこと。そのことで深く傷付いた上に、2人とも交通事故で亡くなったこと。その後は、近所の親切なおじいさんが大きくなるまで大切に育ててくれたこと。

ところが、そのおじいさんが、本当の娘さんに呼ばれて、都会島に行ってしまい、孤独になって海を見ていたら泣けてきたということであった。おじいさんに会いに行きたいけれど船に乗るお金もないし、これからの暮らしも食べ物を買うお金もなくて不安だと静かに語った。