古い家の中には、父の会社で余ったスープの缶詰が大量に放置してあった。ぽろもきは、毎日このスープを飲んで暮らすことにした。そうして再試験の連絡が来るまで、1人で苦手な計算の勉強を続けて、少しでも成績を上げるしかなかった。森の中は人の気配が感じられないが、港からこの家にたどり着く途中には、この島の人々が住んでいる建物がけっこうあった。まだ早朝だったので人とすれ違うことがなかった。だが、住人たちと会話…
[連載]ぽろもきの冒険
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小説『ぽろもきの冒険』【第4回】エゾノ はやと
「だからおまえはダメなんだ。人間のクズだな」夜になると父から言われた言葉が頭の中で再生されて自然と涙がこぼれ…
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小説『ぽろもきの冒険』【第3回】エゾノ はやと
妹が僕との同居を嫌がり、父に不満を訴えた。そして、僕は父から古い小さな家へ一人で住むようすすめられ…
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小説『ぽろもきの冒険』【第2回】エゾノ はやと
幼さが消えて少年になる頃に両親の元に返されたぽろもき。それは悲しい時間の幕開けだった
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小説『ぽろもきの冒険』【新連載】エゾノ はやと
“別な地球”の住民が全てエリート階級である大都会島で生まれた「ぽろもき」。1歳で上位様と呼ばれる特別な権力を持った家庭に望まれて預けられるようになったものの、それは孤独な日々の始まりだった