家族の中の孤立

これは、我々が現在暮らしている地球とそっくりな状態の“別な地球”の話である。その中の1つの国は、“11国”といい、4つの島に分かれていた。大都会島、都会島、自然島、大自然島の4つである。

“ぽろもき”は大都会島で生まれた。大都会島は、高層ビルが立ち並ぶオフィスタウンとマンション街が島の中央にあり、その周囲を高級住宅街と工業地帯が囲んでいた。

この島の特徴は、住民が全てエリート階級であることであった。子どもの頃から、コンピューター操作能力と計算能力を鍛え、一定の年齢になると、その能力によって給料の高い職場の地位が決まるのであった。

ぽろもきの父親と母親もエリート階級であり、高級マンションに住んでいた。このエリート階級で長年働いて管理職になった人間は、上位様と呼ばれ、特別な権力を持っていた。

若いエリートの中に気に入らないエリートがいたら、階級を下げてしまったり島から追放することができてしまうのであった。

逆に気に入られたエリートは、さらに階級を上げてもらったり、時には同じような権力を持つこともあった。

ぽろもきが生まれて1年経った頃、天野という1人の上位様がぽろもきの両親を気に入り、頼み事をしてきた。それは、天野夫婦には子どもがいないので、ぽろもきを時々預けてくれないかという申し出だった。

両親は、大喜びでぽろもきを天野夫婦に預けた。このことで、両親の階級は上がったのであった。

天野家に迎えられたぽろもきは、ほぼ奥さんに育てられた。毎日のようにご馳走を食べさせてもらい、欲しいオモチャは何でも買ってもらった。