【前回の記事を読む】「一緒に暮らそう」の手紙を頼りにおじいさんを訪ねた。彼と離れて仕事も辞めて…だが、呼び鈴を鳴らすと女性の声で「どちらさま?」
家族の中の孤立
のとが1歩1歩ゆっくりと家に近づいた時、玄関からぽろもきが靴も履かないで飛び出してきた。
「のと~! よく来てくれたね。ずっと会いたかった! のとがいなくなって、寂しくてたまらなかった!」
家の窓から外をぼんやり見ていたぽろもきは、初めは幻を見ているのかと思った。会いたいと思うあまり、のとが自分の家に向かって歩いてきている幻を見てしまっているのかと。
目をこすって何回か見直したが、やっぱり本物の“のと”だった。ぽろもきはもう我慢ができなくなって、のとが玄関に着く前に迎えに行って叫んでしまったのだった。
のとが何も言わないうちに、ぽろもきは早口で何度も叫び続けた。しかも泣きながら叫んでいた。
どうやらぽろもきも1人だったようで、他に女の人が一緒に暮らしているような雰囲気は全く感じられなかったため、「今も1人でこの家で暮らしているの?」とのとは確認した。
「そうだよ。今日まで1人っきりで暮らしてきたよ」とぽろもきは言った。
のとが、「これからは……?」と聞くと、
「のとが一緒に住んでくれるとうれしいんだけれど」
ぽろもきが恥ずかしそうに呟いた。
「この家で、一緒に住まわせてください。よろしくお願いします」
のとは涙を浮かべながら笑顔で答えた。
