【前回の記事を読む】彼は私がおじいさんのところへ行けるように一緒に働いてくれる。しかし、私は手紙が届いたことが言い出せずにいた。なぜなら…

家族の中の孤立

季節は秋を迎えていた。のとは、ぽろもきに謝りながら相談した。

「ぽろもき、ごめんなさい。本当は、ずっと前におじいさんから手紙が来ていたの」

「えっ! どんな手紙?」ぽろもきはドキッとした。

「また一緒に住もうっていうことが書いてある手紙」のとは、手紙をぽろもきに見せた。

「ごめんなさい。おじいさんに会いに行けるようにぽろもきも一緒に頑張って働いてくれたのに……」

「よ、良かったね、のと。お金足りる? 船のお金大丈夫?」

「それは大丈夫だけど……。おじいさんに会いに行くのをやめようか、ぽろもきに相談しようと思って」

「何を言ってるんだよ。おじいさんに会いたくて泣いていたんだよ、のとは」

「そ、そうよね……」

話の流れを文字だけで追うと、2人とも笑って達成感のある表情であるはずだったが、のとにも、ぽろもきにも笑顔はなかった。

のとは、ぽろもきに引き止めてほしかった。だけど、それを口に出せるほど自分の境遇に自信がなかった。

ぽろもきは、のとにおじいさんのところへ行かないでほしかった。でも、口にする勇気はなかった。

のとの当初の目的を中止にする意味を自分の中に見出せなかった。忙しくもないのに忙しいふりをして、のとを見ないようにして話した。