“後悔”という言葉がぽろもきにのしかかってきた。のとは本当はぽろもきと一緒にいたかったということが、今更ながらよくわかってきた。引き止める瞬間はあった。

「おじいさんに会いに行くのをやめようか……」と相談された時に、引き止めれば良かった。船が遠ざかっていく時の、のとの悲しそうな涙顔が毎日目に浮かんだ。

のとと出会う前のぽろもきは、大都会島の役に立たない人間のクズだった。のとはそんなぽろもきに、誰かのために働くということの尊さを教えてくれた。

—のとがいたから頑張れた。のとは優しい。のとは可愛い。やっぱりのとと一緒にいたい。のとと一緒に暮らしたい。

のとのちょっとした仕草が目に浮かぶ。振り返って笑う時の表情や、パンをこねる時に鼻先に粉を付けていたことを思い出す。

朝、ぽろもきに「おはよう」と言う時の目の輝きは元気をくれた。ぽろもきが風邪気味だった時の心配そうな顔は、本当の優しさが表れている顔だった。

—もう、今はおじいさんと新しい幸せな生活を始めているのだろうか。

のとの新しい幸せを願う気持ちより、うまくいかなくて戻ってきてくれることを望んでしまっている。そんな自分が情けなくもあった。

大都会島での再試験に向けての勉強は全く進まなかった。家の周りにも屋根にも雪が積もり出した。

この自然島に来た時の孤独感とは全く違う寂しさがぽろもきを襲っていた。

 

 

👉『ぽろもきの冒険』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「お前を抱きたい」そう言った次の瞬間彼は私の上にのしかかるようにして…

【注目記事】私の妹は、5年前に殺された。高校二年生だった。自宅のすぐ傍で車の中に引きずり込まれて、河川敷まで連れて行かれ…