ぽろもきは今まで、世の中で自分は一番不幸で、辛い人生を歩んでいると思っていた。しかし、今目の前にいる“のと”という女の子は、間違いなく自分よりも辛い人生を歩んできた。そして、そのことに衝撃を受けていた。

同時に、のとの役に立ちたいという強い感情が湧き起こっていた。それは、彼女が醸し出している“穏やかな雰囲気”が、応援したい気持ちをさらに強化していたこととも関係していた。

ぽろもきは今までに経験したことがないくらい真剣に考えた。のとがおじいさんに会いに行くことができ、さらに今後の生活の資金源が得られる方法はないか。

周囲を見回すとパンを買いに入ろうと思っていた店に、

「ここで働きませんか」という看板が掲げられていた。

「あれだ!!」

「えっ?」

「あのお店が、働く人を探しているんだよ。とにかくお店に入って聞いてみよう。僕たちを働かせてもらえないか」

「でも、私はパンなんて作ったことないです。それに、どうしてぽろもきさんまで働くんですか?」

「のとちゃんのおかげで、急に働きたくなったんだ。僕もパンは作ったことはない。だから、聞いてみないとわからないけれど、とにかくまずは行ってみよう。あと、僕の今までの生活のことも話すよ。のとちゃんと比べたらだらしがなくて恥ずかしいけれど……。とにかく聞いてみよう」

「はい……」