【2019 年 10 月視察(8 年目の検証)より】
700億円の復興事業。ほぼ嵩上げを終えたその地に、商業施設が軒を連ねて復興し始めていた。建築はシンプルで、商業施設に必要な個性は薄く、それぞれに似たような建築である。
嵩上げした土地の利用決定はいまだ3割である。土地の7割はなかなか先が読めない。ソフトが感じられないハード事業だけが先行していると感じた5年前の視察がよぎる。嵩上げした土地の利用はどのようになっているのか。
商業施設「アバッセたかた」(2017年4月オープン)「道の駅高田松原・東日本大震災津波伝承館」「今泉地区商業集積」(当時計画中)の3地区を軸にトライアングルで結んで復興計画が進んでいた。道の駅に併設された「東日本大震災津波伝承館いわて TSUNAMIメモリアル」はコンセプトもよく見ごたえのある伝承館である。道の駅「高田松原」は2019年9月にオープンした。
震災前の人口24,246人(参照:陸前高田市HP2023年3月6日時点)。2020年人口予測18,443人(参照:国立社会保障・人口問題研究所HP)。人口減少をどう読み取り、将来の陸前高田の役割を、震災以前を超える観光地とするのか否か。新しい生き方を模索して発信をするべきか課題を突きつけられているようだ。
先日、中学生が台風19号の被災地に向けて義援金の募集をしていた。復興支援に駆け付けてくれた全国の方々に大きな感謝と共に「絆」の意味を深く感じた若者たち。彼らが背負った陸前高田の未来にはさらに、はてしないものを感じた。
商業施設の復興に関わった今泉地区の「陸前高田発酵パークCAMOCY」は2020年12月17日オープンした。発酵をコンセプトに発酵商品を提供する専門店が集積した商業施設である。予期せぬコロナ禍で振り回されながらオープンした。観光客の集客に苦慮しながらも商業施設はトライアングルで動き始めていた。
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