【前回の記事を読む】津波からの再出発――南三陸と女川、商業復興と心のケアの両立を目指す歩みとは?  人と街の再生を支えた挑戦の記録

Chapter3 被害状況と復興

地域ごとに見る被害状況

女川町(市街地地域)

【2019 年 10 月視察(8 年目の検証)より】

2016年12月に「ハマテラス女川」がオープンしている。

商業集積の中心をなしている。温浴施設を併設する最終駅の女川駅を降りて港に向かう。駅前広場を通り過ぎると左右に商業施設が建ち並びその先に海が見える。

シンメトリーな景観に何か新鮮なものを感じる。建物は黒色に統一された外装デザイン、向き合う商店の中央には樹木をあしらった広場がある。整った商店街を感じさせる雰囲気。多くの人を呼び込むイベントに相応しい広場もある。

その商業施設は平日利用においては建物が向かい合う広場としては少し広すぎるのではないかと疑問視する。広場を3分の2に狭めることで、もっと賑わいを感じられるのではないだろうか。イベント時においては周辺の駐車場が少ない。施設と駐車場のバランスを疑問視する。

視察先で黒色の建築デザインが多く見られた。似たような建築素材とデザイン。商業施設には温もりや個性がもっと必要ではないのかと残念に思う。

2010年時点の人口10,051人。2020年人口予測8,055人(参照:国立社会保障・人口問題研究所)、人口減少とどう向き合うかが課題であろう。

石巻市(門脇地区)

【2015 年 8 月記述より】

日和山から眺める被災の街は災害の残酷さを強く物語っていた。今でも遠くに見える海から津波が押し寄せて来るのではないかと恐怖に駆られる。

北上川中洲は震災から4年経つが被災の景色はほとんど変わっていない。石ノ森萬画館が、ぽつんと中洲に浮いている。門脇地区や街の中心鋳銭場地区は被害が特にひどい。石巻駅を含むアーケード街には人がまばらで全く活気が感じられない商店街となっていた。