第1章 直面する課題の概略~人生100年時代前夜

6.第2の人生こそ、人間力が問われる

インプットと刷り込みは表裏一体だが果敢に自己吟味をすべきだ。受け売り行為を恐れる必要はない。受け売りを通しての試行錯誤こそが新発想のインキュベーションであり、イノベーションの母なのである。

多くの先達の知見を利用する。受け売りの誹謗中傷を恐れない。これが大事だ。現代のホモサピエンスの末裔である私も、その膨大な知見を最大限使う喜びにあふれている。先達の知見を土台に自分の発想、考えを十分に研究したらそれは受け売りではなく、ホモサピエンスの知の蓄積の上に立脚したオリジナリティになるのだ。

敬愛する先達のホモサピエンス賢者の方々もそれを間違いなく望んでいる。なにしろ人生100年時代といっても138億年のマクロフェーズ、全体最適観から見たらあまりにも短期間だ。この期間限定の我々の世界は効率よく受け売りからオリジナリティ創発に向かうことを我々に望んでいる。

第2の人生における重要な行動の一つである「交流」のフェーズは、職業キャリアグループ、余暇キャリアグループなどの、集まるメンバーのキャラクターにより多種多彩なパターンがある。しかしながら私の経験から言っても、全ての交流パターンに共通の必須ポイントがある。

それはユーモアである。ウイットに富み、的を射た、タイムリーで知的なユーモアは、いかなる交流フェーズにおいても、場を和ませ、活気づけ、全ての参加したホモサピエンスの末裔の方々の表情を緩ませる。

私が交流フェーズで会った数々の友人のなかで、ユーモア心を持ちながらなおかつ交流を進められる人は、ヒューマンネットワーク、新しい人脈を創れ、その先に確実に新しい職業に就いている人が多いという印象である。

次に個が輝く第2の人生の特徴、あるいは第1の人生との違いとはどのようなものであろうか。まず第2の人生の主人公は自分自身になるしかない。何故ならば途轍もない世界、あてがいぶちのない世界では自分自身で価値観という羅針盤を携えてリスタートし、道なき道を前に進むしかないからだ。

いわゆるキャリアの所有者は自分、故にキャリアオーナーシップにマインドセットをし、主体者は、今までの他者組織から生まれて初めて自分個人に変わるのだ。また第1の人生のコアな価値観としては、必然的に昇進、権力への執着であったが、第2の人生の価値観としては、自分の自由および自己成長へと指向が変化する。

また、第1の人生の労務キャリアの結果報酬、および成果については、地位、給料への要望が主だった。

しかしながら第2の人生の労務キャリアでは、内的キャリアの心理的成功への希求に変化する。内的キャリアの心理的成功とは、自分の価値観で活動したプロセスおよび結果に関して納得している感覚、すなわち納得感が得られたか否かが、内的キャリアの心理的成功を決定づけ、なおかつ意味づけできるということである。