新潟での日々
私がパン係⁉
ある日、二組の女の子から廊下に呼び出されました。大柄な彼女は、私を見下ろしながら言いました。
「あんたさ、自分の成績のいいことを自慢してるんだって?」
彼女が言いがかりをつけてきたので、「そんなこと言ってないよ」と私が言い返すと、
「いや、言ったって聞いたよ」
「言ってない」
「いや、言った! 聞いた人がいるんだから!」
「言ってない!」
「言った!」
そのまま休み時間が終わり、次の休み時間もその繰り返し。
「言った!」
「言ってない!」
またその次の休み時間もその次の日も言い争っていると、「まだ、やってんのかね~。いい加減でやめない~(やめなさい~)」と、一組の委員長さんが間に入ってくれました。
結局、誤解だったことが分かり、一件落着。彼女と私は次第に打ち解け仲良くなっていきました。
直江津での暮らし
一学期が終わる頃、直江津の家が空いたので、名立から直江津に引っ越すことになりました。直江津は北陸線と信越線が交わる交通の要で、港には外国船も寄港していて、ロシア系の船員さんたちが街を行き交っていました。
表の駅前通りは雪国特有の雁木通(がんぎどお)り(雪を除けるための軒下)になっていて、お店や旅館が軒を連ねていましたが、自宅のある裏側はまだ改札口もなく、空き地の多い静かな場所でした。
和島村では学校まで徒歩三分だったのに、直江津では海辺の中学まで三十分以上かかり、重い学生鞄を下げての通学は、小さな私にとってかなりの重労働でした。