そして同時に、『伝えなあかんこと』って一体何なんだろうと、この言葉も耳から離れない。五分経過し、また五分経過するに連れ、伝えなあかんことって何なんだろうと好奇心(こうきしん)はどんどん膨(ふくら)み、止まる気配は一切ない。
『妹さん、病気やなァ』の動揺(どうよう)を静める冷水シャワーは胡散臭い姉の生き方を思い出すことだったが、『伝えなあかんことがある』の好奇心を静める冷水シャワーがすぐに見つけられない。
犯罪者の臭いのする姉の知り合いなのだから同類(どうるい)に決まっていると考えてみたりするが、好奇心を静める冷水シャワーにはならなかった。
この一部始終も当然のことながら夫にだけ話したが、昔からの姉の所業(しょぎょう)をよく知っているからなのか何なのか、夫はそれ程不思議がることもなく、ましてや動揺などすることもなかったのだが、それはとても夫らしいことでもあった。
冷静な夫と、動揺と好奇心でゆでダコ状態の妻との会議がすぐさま行われた。
大阪行きが決まった。私の心の中に昔から有る姉への猜疑心(さいぎしん)より、好奇心が勝った。折(お)り返(かえ)し姉に電話をし、「行く」、と言った。
会議所要時間、約十分。何たって三日後に手術を控(ひか)えている。
思い立ったが吉日、などと抜かしている時間はない。
翌日(よくじつ)、早速(さっそく) 息子(むすこ)同伴(どうはん)で大阪に飛んだ。
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