1 外資系でよく見かける社員

外資系にもいろいろある

よく見ると、外資系にもいろいろな会社があることがわかります。資本の100%を外国の会社や外国人が所有している会社もあれば、過半数をこえる程度の会社もあります。アメリカ系の会社やヨーロッパ系の会社、最近増加しているアジア系の会社、メーカーもあれば金融やサービス業もあります。

従業員の数で見ると、数千人規模あるいはそれ以上の大きな外資系の会社もあれば、数十人から数百人くらいの会社もあります。資本は100%外資でもマネジメント(経営者・経営陣)を含め社員はほとんどが日本語を母国語とする人たちの会社、反対に上層部はほとんど外国人が占め日本人は中間管理職クラスまでの会社、当初から外資系として日本でビジネスを開始した会社、外資に買収された日本の会社もあります。

さらに本国と日本くらいの限られた国でビジネスをしている外資系の会社もあれば、グローバル企業として、世界数十ヶ国あるいはそれ以上の国や地域でビジネスをしていて、その一つが日本にある会社もあります。

また、日本でビジネスを始めたばかりの会社もあれば、数十年またはそれ以上日本でビジネスをしている会社もあります。さらに細かく分けると、日本法人の会社もあれば日本支店の会社もあります。

こういう状況で私たちが気をつけなければならないのは、外資系はこういう会社だ、外国人マネジメントの考え方はこうだなど、外資系をひと括りにして決めつけることです。

上述のように外資系にもいろいろなタイプがあり、その各々のタイプのなかでさらにいろいろな違いがあります。みなさんが一般に思っているような、いわば典型的な外資系もあれば、資本は100%外国資本だけれど中身はまるで日本式の会社もあります。
こういった会社の社員は、自分たちが外資系で働いているとはおそらく思っていないでしょう。反対に、「外資系」というよりも、「外国の会社」と考えた方が実情をよく表しているような会社もあります。

同じように、ご存知のとおり日本でビジネスをしている日本の会社もみな同じではありません。業種や規模も違えば経営のやり方も千差万別です。

株主に対するリターンを重視する会社、株主より従業員をまず考える会社、状況を見て機敏に方向転換する会社、同じことを何十年も続けているように見える会社、成果主義の会社などさまざまです。

また外資系も日本の会社も、ビジネスの内容やビジネス・マネジメントの手法が変化しています。ですから、外資系と比較する場合も、日本の会社はこうだといちがいに決めつけることは適当ではないでしょう。

外資系にはこういう会社が多い、日本の会社にはこういう会社が多いといった程度に見ておかないと、誤った認識をしてしまうことになりかねません。

さらに、例えば二十年前の外資系と今の外資系は同じでしょうか。日本の会社も昔と同じで、その間にどちらもほとんど変化はないのでしょうか。

そんなことはなく、外資系も日本の会社も、当然のことながらさまざまな面で時代と共に変化しています。ビジネスのグローバル化にともない、変化は今後ますます加速するでしょう。