1 外資系でよく見かける社員

日本だけではない外資系

私たちは外資系のことをよく話題にしますが、アメリカやヨーロッパ、アフリカや東南アジアなどの国にも外資系という言葉があって、現地の人たちは私たちと同じように、日系の外資系企業についてあれこれ批評をするのでしょうか。

いわくお金に貪欲なハゲタカ、思いやりのないビジネスライクな経営判断、猛烈に働くビジネスパーソン、仕事の成果に連動する高い給与などなど。

私たちが日本で外資系のことをよく話題にするのは、ことによると日本式のビジネスのやり方や雇用の仕組みなどが、さまざまな点で他の国、特にアメリカやヨーロッパ式のやり方や仕組みと違っているからではないでしょうか。ほとんど同じだったら話題にするはずがありません。違うから話題になるのです。

実際外資系は日本の会社とはかなり違うところがあります。しかしそれは違いであって、どちらかが優っているとか劣っているとか、いちがいに結論づけられるようなことではありません。

日本のことをもう一度見直す

最近あちこちで多様化、ダイバーシティという言葉を聞きますが、外資系で働くことは、まさにこのダイバーシティのなかに身を置き、いかに相手とコミュニケーションをするかでもあります。これこそまさに異文化コミュニケーションです。

生まれ育った社会も、言語も違う人たちとコミュニケーションをすることは、見方を変えると、自分や自分の生まれ育った社会を外から見直してみることに他なりません。

例えば、日ごろ私たちが当たり前と思っていることが、世界的に見ると案外そうではないことに気づきます。

すなわち外資系で働くことは、自分の考え方や日本の社会、慣習、ビジネスのやり方などを見直すことにもつながります。また、外国人マネジメントの考え方や行動には、当初は戸惑うこともありますが、多くの点で学ぶべきところがあります。

そして日本における外資系を知ることは、海外に進出している日本発(日系)の外資系企業の経営の参考にもなるはずです。

すでに外資系で勤務している人は、外資系と日本の企業との違いについて、この本のなかに書かれていることを自身の経験や知識と照らし合わせ、仕事のうえでより適切な対応をするための参考にすることができるでしょう。