2 私は会社で何をしたらいいか
指示待ち社員と終身雇用
いろいろな見方や意見はあるものの、働く人たちの権利や保護にかかわる法律面から見ても、安心して指示を待つことができる状況です。
このように、大多数の社員にとっては、会社の倒産などよほどのことがない限り、実質的にはきわめて長期間の雇用すなわち終身雇用が保証されており、自分から積極的に行動して会社に対する貢献をアピールしなくても、安心して指示を待っていることができるのです。
反対に、今の日本で会社に対する貢献を自分から積極的に上司に訴えたら、多分その人は少々胡散臭く見られるでしょう。
多くの外資系の企業では状況はかなり違います。上司の指示を待っているような受身の社員は、全くいないわけではありませんが相対的には少数派です。
例えば人事考課などで高い評価を得るためには、社員は自分の業績や会社に対する貢献度合いを、具体的かつ積極的に上司にアピールすることも重要です。
ずっと受身で「指示待ち社員」のままでいると、上司から見たその社員の人事考課は低くなり、それが何年も継続すると、そのうちに「あなたにはもっとふさわしい職業や会社があるのではないか」などと言われてしまう可能性が大きくなります。
上司の指示待ちなどをしていたら、会社における自分の存在感が薄くなります。外資系で働く人にとって重要なことは、自分の仕事やその結果が会社に対してどのような貢献をしているのか、つねに頭のなかに置きながら仕事をすることです。
これを別の言葉で言うと、自分の気がすむようなやり方で仕事をするのではなく、上司の求めているやり方で仕事をすることです。
ちなみにそういった外資系の企業の海外に所在する本社では、会社からだけでなく、社員からも「来週からもう来ません」と伝えることがあるようです。極端な場合には金曜日の夕方に上司に向かってそう伝えることもあります。
外資系企業の外国人マネジメントの考え方は、こういった雇用のプラクティスがベースになっています。
ですから、日本的な雇用にかかわるプラクティスを前提にした、例えば指示待ち的な態度でいると、外国人マネジメントの誤解を招くだけでなく、自分に対して好ましくない状況をみずから演出することにつながってしまう危険性があります。本人が中間管理職の場合は特にそうです。
ところでTGIF(Thank God it’s Friday)という言葉を知っている人も多いでしょう。日本語では「ハナ金」。一般的には「やっと金曜日になった、明日からは休みだ」という意味です。
しかし英語ではもう一つの意味があると言われています。それは、「やれやれ金曜日になった、これで解雇されずに来週も働くことができる」という意味です。いかにもありそうな話ではないでしょうか。