三十二 こ 2274

臥(こ)いまろび 恋(こ)ひは死ぬとも いちしろく 

色には出でじ 朝顔が花

 

作者未詳

訳 伏し悶えて恋死にする事はあっても、この思いをはっきりわかるように顔には出しますまい。朝顔の花のようには


【注】1 臥いまろび=転げ廻って、伏し悶えて。「臥ひ」は「臥ゆ」の連用形

【注】2 「出で」=他動詞

【注】3 朝顔の花=朝顔の花のよう。桔梗か

三十三 こ 633

ここだくに 思ひけめかも 

しきたへの 枕片去(まくらかたさ)る 夢(いめ)に見え来(こ)し

娘子(をとめ)

訳 それほど強く私を思って下さっていたのでしょうか、貴方の枕を開けて寝た私の夜の夢に現れたのでした


【注】枕片去る=男が来ない夜、男の枕が床の傍に寄っている様子

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