ある人から贈られた万葉歌

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あぢさゐの 八重咲(やへさ)くごとく

八代(やつよ)にを いませ我(わ)が背子(せこ)

見つつ偲(しの)はむ

左大臣兵部卿橘奈良麻呂朝臣(ひやうぶのきやうたちばなのならまろのあそみ)

はしがき

日本最古の歌集。日本の宝、最高の文化遺産である民族の歌謡「万葉集」は、全20巻・漢文1、漢詩4、重出歌12、4541首(数え方は諸説有り・国歌大観は4516首としている)。

5世紀初頭の仁徳朝から奈良淳仁朝まで約350年にわたる天皇から名も無き男女までの壮大な歌集をせめて100首覚えたくて、中西進編「万葉集事典」(講談社文庫)、金子武雄著「万葉防人の歌」(公論社)、林田正男編「校注 万葉集筑紫篇」(新典社)、犬養孝著「万葉の人びと」(新潮文庫)を手がかりに、有名な歌、覚えやすそうな歌を100首選び、角川ソフィア文庫の伊藤博訳注「万葉集」、三省堂・新明解古典シリーズ「万葉集」、清川妙著「万葉集の恋うた」(中経の文庫)、上野誠著「筑紫万葉恋ひごころ」(西日本新聞社)、山折哲雄著「わたしが死について語るなら」(ポプラ社)を参照して編集したものである。

今後とも更に精査して、美しく覚えやすい和歌集にしていきたいので大方のご協力をお願いしたい。

それにしても1000年も昔の人がその又昔を懐かしむところがなんとも面白く、人間が連綿と命を繋いできたことが解り感慨深い。万葉集訳文は佐竹昭広・木下正俊・小島憲之共著「萬葉集 訳文篇」(塙書房)を参考にした。

追伸 年を取りMRIやCTの世話になるとき、あの五月蠅い音や15分もじっとしている苦痛をこの百人一首を称えてやり過ごすのは快感である。

追伸 万葉集の主役、桓武天皇の実の弟、皇太子早良親王と春宮(皇太子)大夫大伴家持が藤原種継暗殺の罪で、罪人となり万葉集が「罪人の書」であったとは驚き。似たような話が古代天皇家の歴史には多い。桓武天皇の弟が殺され天皇の子が平城天皇になった。

2021、12、15 

編者 年金生活者。万葉集研究家。令和の家持もどき 松原龍一郎