最新の注文書、お送りしましてんけど、お読みやないんでしょうね。なんしか3八時の列車で行きますわ。二~三時間休んでようなりましたよって4。どうぞお引き取りください、支配人さん。すぐに自力で出勤しますから、どうか社長によろしくおとりなし願います!」
自分が何を言うとんのか分かりもせんと一気にまくしたてる間にグレゴールは、ベッドで積んだ練習のおかげでタンスにあっさり接近できて、タンスにつかまって体をまっすぐ起こそうとした。
グレゴールは本気でドアを開けて姿を現し、支配人と話すつもりやった。今こんだけグレゴールに会いたがってるみなが、いざグレゴールを見たら何と言うやら興味津々やった。
みながびっくりしたらもうグレゴールには責任はないわけやから落ち着いとったらええ。逆にみなが平然と万事を受け入れてくれたらグレゴールもアタフタする理由はないわけで、急げば八時に駅におることもできる。
1 からに……やがって
2 ようは……よくは
3 なんしか……とにかく
4 ようなりましたよって……よくなりましたから
【前回の記事を読む】左隣の部屋に重苦しい沈黙が忍びこみ、右隣の部屋で妹がすすり泣きし始めた