最初は何べんかツルツルのタンスから滑り落ちたものの、ついに一回弾みをつけて体を起こした。体の下側が火でもついたように痛かったけどもはや気にもとめなんだ。手近な椅子の背もたれに倒れかかってそのふちに脚でしっかりしがみついた。そうやってグレゴールは我に返って口をつぐんだ。支配人の言葉が聞こえてきたからやった。「一言でも分かりましたか?」支配人が両親に尋ねた。「私らをおちょくっとんちゃいますやろな?」…
[連載]大阪弁で読む『変身』
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小説『大阪弁で読む『変身』』【第6回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
鍵穴にささってる鍵を口で回す仕事に取っかかった。茶色い液体が口から流れ、鍵づたいに床にしたたった。
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小説『大阪弁で読む『変身』』【第5回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
部屋にこもってハイかイイエだけの返事をしていると支配人の声のトーンが上がり始め…
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小説『大阪弁で読む『変身』』【第4回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
左隣の部屋に重苦しい沈黙が忍びこみ、右隣の部屋で妹がすすり泣きし始めた
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小説『大阪弁で読む『変身』』【第3回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
じっとしていれば、現実としてのみこめる状態に戻れるのではないかと期待したが…
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小説『大阪弁で読む『変身』』【第2回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ。こっ、声が変わってる!?
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小説『大阪弁で読む『変身』』【新連載】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
「おれ、どないしてん?」夢から目覚めたらでっかい虫に変身してた!?