せやけどこないして君のわけの分からん片意地はりを見とると、わずかでも君の力になったる気がまるっきり失せるわ。君の立場かて必ずしも安泰とは限らん。

もともと君と二人っきりになったうえで洗いざらい話すつもりやったんやけど、こうも私に時間の無駄をさせてくれるからにはご両親の耳にも入れていかん理由もなかろう。

君の成績はここんとこロクなもんやなかった。確かに今は特別に上り調子の商売ができるシーズンやない、それは誰かて分かっとる。けどな、まるで商売にならんシーズンというもんはないねん、ザムザ君。あってはならんのや」

「そらそうですけど支配人さん」

グレゴールは夢中で叫んだ。興奮のあまり他のことは一切合切頭から消し飛んだ。

「今すぐ開けますよって。ちょっと気分が悪うて、目まいもしたんで起きられへんかったんです。

今はまだベッドん中です。けどもうだいぶようなりました。ちょうどベッドから出るとこです。ちょっとだけ待ったってください! まだ思ったほど回復してませんけど、ようは2なってます。

何の因果でこないな目にあうんでしょうねぇ! 夕べは元気やったんですよ両親も知ってます。いや、夕べっから少し初期症状はあったかもしれません。はたから見てたら分かりましたやろ。なんでこれを店に報告せなんだかなぁ! 

そら病気くらい家でじっとしとらんでも治るて思いますわいな。支配人さん! どうか両親にご配慮ください! 今しがた私を非難して言わはったことはみな根も葉もあらしません。あんなん誰にも言われた覚えありませんから。