「あっ、こっちに鈴木警部どのも倒れておられます!」

「生死は?」

「生きておられます! かすかですが、息をしておられます!」

その声に、竜興は目を覚ました。

「う……ん……?」

竜興は、かたわらの巡査の肩を借りて上体を起こし、頭を振った。

「鈴木警部、何があった?」

一人の警部が、囚人の死体を指し示して問うた。

「そ、それが、突然青白い光が射し込んできて……、あとは、記憶がございません」

文平たちの死体は、警察には不可解なものだった。全員が体のどこかにひどい傷を負っていた。それが死因であることは、一目でわかった。

だが、その傷をいつ負ったのか、誰にやられたのかまったくわからない。それ以上に不可思議なのは、五人が、監視小屋の横に一列に並んで倒れていることだった。そして、みんな、これだけひどい傷を負っているにもかかわらず、その表情は穏やかだった。 

その奇妙な死体が発見される三日前。空に輝く遥かな星々の彼方で、大惨事が起きていた。

「緊急事態発生! 銀河系航空宇宙局、応答願います!」こちら銀河系航空宇宙局です。船籍並びに船長氏名をお知らせください。

船籍は、レイギッガア王国。船長は、カイエ・ギリー!」

失礼ですが、今お話しになっているのが、ギリー船長ですか?

「いえ、船長は操縦席に足が挟まって出られないのです。僕はレイギッガア王国王子、ガイ・竜興・レイギッガアです」

了解しました。ガイ殿下。何が起きたのか、順を追ってご説明ください。

「はい。昨日、キッドス星のメックス王子の華燭(かしょく)の典(てん)でお祝いを述べ、帰途、一時間ほど航行した直後、大規模な流星群に遭遇。バリアを張ったものの、本船の損傷激しく、修理に赴いたエンジニアチーム五名全員が、第一エンジンの爆発に巻き込まれ、負傷。現在、船医と僕とで応急処置はしましたが、出血がひどく、重体です」

人工血液のストックはございますか?

「はい。しかし、五日分しかありません。あれは傷みやすく成分も人間の血液より劣ります。本当の一時しのぎです。ワンパックで一日分の人血の代わりにしかなりません。一刻も早く、人間の血液を輸血しなければ……」

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