Ⅰ 歴史的概観

1.旧石器時代、新石器時代、青銅器時代(35万年前~前1000年頃)

共同体の規模が大きくなるにつれて、その内部組織も複雑化しました。これは、テッサリアの新石器時代後期の代表的な遺跡であるディミニやセスクロの建築に反映されており、集落間の交流も盛んになりました。

南ギリシアでは、新石器時代の遺跡は少ないですが、後期新石器時代の銅製短剣が出土したことで知られるラコニア地方のディロスにあるアレポトリパ洞窟は、その時代の数少ない遺跡の一つです。

ペロポネソス半島に入植者が広がったのは、この後期新石器時代の終わり頃でした。険しい地形、痩せた土壌、乾燥した環境は、多くの技術革新を促しました。

それまでほとんどの道具は石で作られていましたが、初期青銅器時代(前3000~前2000年)には、銅、そして青銅が一般的になりました。ギリシアには銅はあっても青銅のもう一つの成分である錫(すず)はなく、海外から入手したものと考えられています。

アルゴス湾岸のレルナで建造された「屋根瓦の館」(貴重なレルナ人の足形<左足の指の痕>のついた屋根瓦が残っています)は、初期青銅器時代の洗練された建築を例示しています。

また、大きな回廊つきの建築物は、社会の階層化を示しています。前1900年頃には、クレタ島で最初のクノッソス宮殿が建てられていますが、中期青銅器時代(前2000~前1600年)のギリシアは、それに比べると驚くほど貧弱な印象があります。