第二章 おがさわら紹介

二 アオウミガメの産卵

産卵後、約六〇日間でふ化し、稚亀は水際に吸い寄せられるように海に戻っていきますが、立ち会いした時、産卵した卵は、同年の七月十八日にはふ化をして、元気一杯歩く姿も確認することが出来ました。

ふ化した稚亀は、何千キロといわれる日本近海を回遊する旅に出て、生まれた小笠原の浜辺を忘れることなく産卵のために戻ってきます。しかし、無事成長して戻って来るのは非常に難しく、一万匹の内で数匹程度の確率と言われています。

こうした自然のいとなみが太古の昔から、小笠原の砂浜で続けられているのです。

もう一つお伝えしたいことは、小笠原では年間許可のあった頭数に限って、捕獲して食用にするという歴史があります。

「えー! 亀を食べるんですか?」と驚かれるかと思いますが、ウミガメ漁は、捕鯨船の時代から盛んに行われており、その料理は刺身、ステーキ、煮込みとして美味しく頂くことが出来ます。

赤身の刺身は珍味であり、煮込みは少し慣れないと独特の感触・匂いもあり食べるには少々抵抗があるかと思いますが、亀料理は小笠原の「島寿司」と共に郷土料理となっています。

また、二見湾の湾奥にある小笠原海洋センターでは、その建物の前の浜辺に産卵場所が設置されており、タイミングが合えば産卵の情景を見学することが出来ます。

同センターでは、ウミガメの研究・保護・増殖を行っており、屋外の水槽では人工ふ化した子亀が飼育されて、見学も出来るようになっています。

世界自然遺産の島、宝石のような島「おがさわら」に訪島されて、是非ご自身の目で確認されたら如何でしょうか。幸運にもアオウミガメの産卵に立ち会うことが出来ればその方は、それは一生の想い出となることでしょう。

三 小笠原のお酒

小笠原諸島は、年間の最高気温と最低気温の平均がそれぞれ二五・七℃と二一・二℃という亜熱帯の海洋性気候の島々です。

このため、一杯飲(や)ろうということになれば、まず、冷えたビールとなります。いやいや「亜熱帯の島小笠原で、常温ビールもおつなものですよ!」という人もおられたりして、その方のお顔、飲みっぷりが想い出されてきます。