俳句・短歌 歌集 自然 2022.11.18 歌集「緑葉の里」より三首 歌集 緑葉の里 【第5回】 上條 草雨 大いなる自然と文明遺産に抱かれて この地球(ほし)に住まう この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 新緑しんりょくに多種の野草の小ちいちゃな芽 無垢むくな心の歓喜に見える 満開に佇む桜目に映はえて 計り知れない存在理由 霞み空春の暗夜あんやに朧月 心の闇を照らしてタップ
小説 『泥の中で咲け[文庫改訂版]』 【第7回】 松谷 美善 母さんが死んで、一人で生きていかなければならなくなった。高校中退後、月6万円での生活。お墓も作れず母さんの骨と一緒に暮らした 一日中、使いっぱしりをして、クタクタになって部屋にたどり着き、買ってあった少しの菓子を貪り食うのもそこそこに、重たい泥のようになって、布団代わりの寝袋に潜り込む。小さい頃から運動習慣のなかった俺には毎日が、筋肉痛が出るほどキツかった。毎朝、四時に目覚ましをかけて、まだ眠くてフラフラしながら起きる。風呂のついている部屋は、最初からはもらえない。申し訳程度についた小さなキッチンの流し台で、頭を洗って…
小説 『訳アリな私でも、愛してくれますか』 【第19回】 十束 千鶴 傘の中で彼の肩が少し触れた瞬間、心まで近づいている気がしていた 【前回の記事を読む】『SNSの利用者も馬鹿ではないので、自分の有意義な情報を出してくれるアカウントでないとフォローしてくれません』「……さっきはあんなこと言ってごめんね。私の認識が甘かったかも。今度から、岩下君と一緒にSNSの運用に入ってもらおうかな」「はい。じゃあ俺、岩下さんのところに行ってきますね」「あ、うん……」礼は満足げな笑みを浮かべてオフィスを出ていった。その背中を見て、期待とともに不…