不動産と動産の違い
このように法律上では「土地」と「建物」は不動産と定義されていますが、不動産とは反対に「動産」といった物があります。こちらも不動産と同様に動産といった言葉を日常ではあまり使うことはないかと思いますが、「不動産」と「動産」にはどのような違いがあるのでしょうか?
先ほどの民法では不動産以外の物はすべて動産とされています。土地や土地に定着している物は不動産になりますから、動産は定着をしていない物。要するに、動かせる物が動産になります。例えば、電化製品や家具、照明、カーテンなど動かせる物は動産になります。
不動産取引実務での取り扱い
さて、ここまでの話で改めて不動産がどのような物なのかおわかりいただけたかと思います。それではここから売買など不動産取引実務での不動産についてお話をいたします。
不動産取引実務では、民法の通り、土地と建物を不動産として取り扱っています。読者の皆さんも同じように考えられていたかと思いますが、単純に土地と建物だけが取引対象ではありません。
例えば三〇坪の土地があって、そこに家が建っていれば土地と建物が取引対象になります。ただし、家が建っている土地までいく道路が私道だった場合は、私道部分も取引対象になってきます。詳しくはのちほどご紹介をいたしますが、その他にも借地や底地も単独で不動産取引をすることができます。
それから不動産を売買するときに建物を解体せずにそのまま売却をすることがあります。相続不動産では、亡くなってから生活していた家財がそのまま残っていることが多く、その場合、「引き渡しまでに残置物を撤去する」といった取り決めをすることがあります。
先ほど、動産について説明をさせていただきましたが、残置物とはすなわち動産物のことです。どこまで残置物を撤去すればいいかというと、基本的には動かすことができる物はすべてになります。ちなみにですが、実は畳やふすまなども動産物になります。しかし、不動産取引実務上では動産物として撤去を求められることはほとんどありません。
不動産とは? についてお話をしてきましたが、なんとなく不動産についておわかりいただけましたでしょうか?
不動産取引実務では土地と建物以外にも私道など、不動産として取り扱いをする対象がいろいろとありますが、このあとの話では不動産の種類や不動産の評価方法についてお話をしていきたいと思います。