第二章 相続不動産の基本を知る

不動産の種類とその評価について

不動産の価格を決める方法は

不動産とは何かについて述べてきましたが、現実の不動産は多種多様で個別性が強いものです。特定の不動産に置き変わる不動産は一つもありません。コンビニに並ぶ商品とは異なるわけです。しかし、不動産の経済的価値やそれを反映する価格については、統一的な考えやルールがなければ不公平が生じます。では多種多様な不動産を、どのように公式的なルールで価格を把握するのかについてご説明します。

不動産の価格について、地価公示の公示価格や、相続税路線価という基準(公示ルール)があります。しかし、この考え方は、標準的な規模の土地の価格を査定するのみであって、土地と建物の一体とした不動産の価格は把握できません。また、貸家や借地などのように、所有者と利用者が異なる場合においても説明はできません。

そこで、現在の法律の下では不動産鑑定評価における定義や考え方が基準となります。ここにおいては不動産の多種多様な不動産を種類別に分けて、価格を査定していくのです。

不動産の種類

(一)不動産の種別と類型

不動産の鑑定評価においては、多種多様な不動産を整理しながら査定するために、不動産の「種別」及び「類型」という二つのセグメントから分類します。不動産の「種別」とは不動産の用途に関して区分され、不動産の「類型」とは、権利関係に応じて区分されます。

(二)不動産の種別と土地の種別

不動産の土地の部分について、土地の種別として「住宅地」、「商業地」、「工業地」、「農地」「林地」などのように分類されます。この土地の種別の判定には、住宅地域、商業地域、工業地域、農地地域、林地地域といった、地域の種別の判定が前提となります。これは、用途的地域の分類といって、例えば「(住宅)の用に供されることが自然的、社会的、経済的、行政的観点からみて合理的と判断される地域」をいうものです。つまり現実の利用方法を採用している訳ではありません。以上のように、土地の種別は用途的地域の種別を基準として判定されます。