第三章 相続不動産の法律と税金を知る
不動産に関わる法律には何があるのか
それぞれの場面で関わる法律は?
③土地建物の契約を結ぶ際に関わる法律
土地や建物を売ったり・買ったり、貸したり・借りたり、建物を建てる、相続により土地や建物を取得するなどの際に、それぞれ「売買契約」「賃貸借契約」「請負契約」「遺産分割協議書」などの契約等を結びますが、その時に関わる法律です。以下に代表的な法律を記載します。
民法は、各契約が有効に成立するための要件や、万が一トラブルがあった際の基準、不動産の状態や内容が契約に適さないときの責任(「契約不適合責任」といい、以前の瑕疵担保責任といわれるものです)、相続に際して考える基準など、基本的な考え方を定めています。契約や協議内容について、契約の相手方と争いが生じた場合や、そもそも契約の相手方と取り決めが無いような場合、原則として民法に基づいて協議し解決することになります。
借地借家法は、主として借り手である賃借人(借主)の立場を守ろうということで作られた法律ですが、土地(ただし、土地の上にある建物の所有を目的とするものに限ります)及び建物の賃貸借契約に関して、民法に優先して適用される法律です。例えば、土地・建物の賃貸借契約の期間や更新の際の基準・終了させる場合の要件などについて定めています。
消費者契約法は、一般的に事業者と消費者には交渉力や知識・情報量などに差があることから、事業者と消費者との間で結ばれた契約を対象に、消費者を保護しようという目的から、民法に優先する規定を設けています。
具体的には、事業者の不適切な行為の結果、消費者が誤った認識や困惑をしたまま契約を締結した場合は、その契約を取り消すことができる旨定めています。また、契約内容に消費者の権利を不当に害する条項がある場合には、その契約条項を無効とすることなども定めています。
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者が売主となる売買契約について、消費者を保護しようという目的から、契約内容の一部に制限を加えるなどの、民法に優先する規定を設けています。
具体的には、土地建物を売買する際の手付金や違約金などの金額の制限や、先ほどお話しした契約不適合責任に関する制限が設けられており、これらの制限に違反する契約条項は無効となる旨定めています。
また、事業者が自ら売買する際や、事業者が他人間の売買や賃貸借などの代理や媒介(仲介)をする際の広告活動の規制、買主や借主に対する重要事項の説明義務(物件に関する事項や取引条件です)、契約内容を記載した書面の交付義務なども定めています。