第一章 相続と不動産に関する状況

不動産に関する市況

公示価格を見ればわかる

これまでの日本経済の盛衰とともに、不動産価格はどのように推移してきたのでしょうか? それは、市況や推移を示す端的な指標は公示価格の推移をみればおよそ理解できると思います。

公示価格とは、地価公示法(不動産が適正な価格で取引されることを意図して制定)で定めた、その地域を代表する標準的な土地を公示地(全国約二万六〇〇〇ヶ所)として定め、各地点の毎年一月一日時点の価格を不動産鑑定士が査定するのです。

ですから、価格の推移を把握するには最もわかりやすく、法的に根拠のある資料となります。

図表1を、ご覧ください。日本の不動産市況を示す公示価格と、日本経済の盛衰を示す株価との密接な関係がご理解いただけると思います。

写真を拡大 [図表1]日経平均株価(月末値)と地価公示

公示価格について

公示価格はどのように査定するのでしょうか。

公示地はその地域の代表的な地点ですが、実際に毎年売買取引される訳ではありませんので、毎年の価格は査定する必要があります。そこで、多数の売買事例を集めて、不動産鑑定評価の手法を用いて査定します。

例えば、対象地点が戸建住宅の多い住宅地にあれば、その地域又はそれに類似するエリアで実際に取引された土地の売買の事例を多数収集します。

その事例のうち信頼性の高い事例を絞り込んで、対象地域の標準的な規模と比較し、加減や修正しながら、査定します。

(例えば、戸建住宅の多い住宅地域で、標準的な取引規模が一二〇㎡で一八〇〇万円とすると、その地域の代表的な地点(公示地)の価格が、一五万円/㎡、などとして査定されるのです。)