お前が僕の横を通っていつもの部屋へ向かったので、慌てて後を追う。指定席に足を折りたたんで座り、自分のマイクをセッティングし始めた。それを止めようかどうしようか悩んでいる間にもディスプレイ上は、マイクが拾った音声と突然の見慣れたアバターの登場に沸き立った。あまりにも色めきだっているその様は給餌前(きゅうじまえ)の動物園の様で、とても騒がしい。お前はマイクとマスクが接触しない様に微調整を掛けていた。…
ミステリーの記事一覧
タグ「ミステリー」の中で、絞り込み検索が行なえます。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第12回】ホエラニア
「少し、しゃべ、るよ」酷い怪我のまま、配信に来た親友。笑っているけど、僕には、それが本当に笑顔なのか分からない。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第11回】ホエラニア
お前がいない、二週連続の一人ぼっち配信。視聴者から、心無い者による危害を疑う声が上がる。その時、玄関で物音がして…
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第10回】ホエラニア
「構ってちゃんとか嫌いなんだよ。ほっといて欲しいなら一生そうしてろ」足音を荒げて部屋を出たが…あれ?違和感。あれがない。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第9回】ホエラニア
「本当に事故なの? 酔っぱらって転んだにしては、ちょっと…本当に酷い怪我だよ。何だか怖い。遠くに行っちゃう気がして」
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第8回】ホエラニア
「なぁ、何か言って」そっと肩に触れる。教えてくれよ、お前に何があったんだ? 何か言ってくれよ、泣くだけなんておかしいだろう、お前、お前。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第7回】ホエラニア
殺してやる...背中でもさすってやろうとした途端、お前の体が跳ね、僕の手が振り払われる。隻眼が僕の目を貫き、僕に襲いかかり、確かにこう言った。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第6回】ホエラニア
そこから血と鼻を突く臭いがして、ゴミ袋を見やる。お前の服が死んだねずみの塊みたいに固まっている。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第5回】ホエラニア
死に直面した人間が吐き出すような絶叫に、尋常でない様子の親友を訪ねる。扉が人一人分きっちりと開いて、僕の目の少し下辺り、お前の頭が揺れている。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第4回】ホエラニア
ライブ配信中に親友が上げた叫声。どんなホラー実況よりも恐ろしい叫びに、一瞬にして実況画面は混乱に陥った。これは記憶の中の音で幻聴なのだろうか。いや、僕は知っている...
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第3回】ホエラニア
「いたあああああいいいいいいいいよおおおおお」錆びた釘束を血反吐と一緒に吐き出しているような悲鳴が、かろうじてお前とわかる声音で耳をつんざいた。
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【第2回】ホエラニア
予定の時間に来ず、電話に出ず、配信をすっぽかし、僕を無視する。この十数年間を共にした僕を。
-
小説『善悪の彼方に』【第13回】叶浦 みのり
「うちの父の事件」…? 確か火事の原因は、火の不始末という”事故”だったはず。それを、意味ありげに”事件”と強調したのは…
-
小説『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』【新連載】ホエラニア
玄関を覗いたが、物音一つ気配すらなかった。数通まとめてメッセージを送った。注意、怒り、心配、呼び掛け。だが、お前はいない。
-
小説『シュバルツ・ヴァルト』【第7回】萬野 行子
兄の車がフェンスに激突し、大破した。砕け散った破片がスローモーションで四方に飛び散った。そして私はたった一人の兄を失った
-
小説『彼のために人を焼く』【第18回】暮山 からす
先生の家が発火し、遅刻した僕を放火犯だと疑う刑事。「何か変わった様子は?」「いえ、特に」「即答だな」シマッタ…
-
小説『刑事狩り』【第11回】人見 謙三
「お前達! 誰の許可を得てホシをパクった?」「許可って、課長じゃないんですか?」上司の指示を無視して、俺が許可したことに…
-
小説『奥会津の人魚姫』【最終回】西田 理酉
亡くなる前に保険に入った彼女。保険金は満額、彼女の双子に下りたらしい。―実は生前、彼女はあれよあれよと保険の契約を…
-
小説『レッド・パープル』【第16回】そのこ+W
満州では欲しい物は何でも手に入るほど裕福な暮らしをしていたが、あることがきっかけで一家の暮らしぶりは一転し…
-
小説『虹色の魂』【第5回】青居 蒼空
5歳の誕生日を迎えてすぐ母が死んだ。棺の前で背中を丸めて泣いている父の後ろ姿が見えた。こんな父の姿を見るのは初めてだった…
-
小説『スクリーン』【第3回】山田 健太郎
突然の逮捕、そして勾留延長。「弁護士はどうされますか?」と聞かれて両親の顔が頭に浮かんだ