ほど良く脱色されてまだら模様になったジーンズ・コートに身を包み、勅使河原拓史はいつものように片腕で抱えられるだけの大輪のカサブランカを携え、御器所通(ごきそどおり)を上って来た。名古屋市のなかでもこの昭和区は多くの大学が集まり、高級マンションや有名なレストランなどが増え、街の夜間人口を支えている。来年21世紀を迎えるのを記念して名駅(めいえき)から地下鉄も延伸され、いわば学園都市の機能が強化され…
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