ひとしずくの兄弟たちの内に灯った熱は、少しずつ互いに伝播していきました。そのせいか、みんな少しずつ浮かれ始めていました。彼らは、雪が溶けるにつれて広がってゆく視界の先を眺めては、「楽しみだね」「楽しみだね」と口をそろえて言いました。これから生まれ出る世界は、諸手を広げて自分たちを待っている。そのことが、嬉しくて嬉しくてたまりません。春を待つ雪たちは、いつでもこうして黄色い声を上げながら、来るべき…
小説
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『ひとしずく』【第4回】今明 さみどり
水の滴の姿で旅立っていく兄弟たち…ころころと笑うような別れのあいさつ
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『羊を食べ尽くした男 中国仏教衰微の日』【第7回】山亀 春久
「明晰さには感服いたします」若君が瓶を見分けられたワケ
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『雲海のエガミ』【第6回】こた
異様な雰囲気を放つ軍艦…魚船零族狩りに周囲を囲まれて…
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『とらおさんと犬のお話』【第4回】Kumpoo
【写真絵本】たくさんの卒業を見届けてきたマムにも…「あたしでいいの?あたしは誰かを幸せにできるの?」
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『千恵ねえちゃん』【第5回】城 唯士
「これからもずっと迷惑をかけるんだ」お姉ちゃんたちとの新しい暮らし
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『殿と猫と私』【第6回】稲乃平 芽來
「えぇーーっ!それは可哀想過ぎる。」猫のタマの語るかつての友達の話が壮絶で…
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『MICHI』【第7回】福岡 富子
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」初めて重大な局面にぶつかった時、思い出したのは母の言葉で
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『べとべとべー』【最終回】わたなべ みゆき
“おまえ、今日頑張れよ” 信じてくれていた友の声を胸に「べとべとべー」思いきり板を蹴ってトブ!
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『近づく果実 』【第5回】鈴木 寂静
「広告を取ることは人間的な魅力が必要なんだよ。」営業先の店長がライトグリーンのスーツ姿を気に入ってくれて
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『ラガーマン ジャッカル翔』【第5回】上山 照
「男の方を探せ!」王子を襲ったと思われた男は命の恩人だった!? 泣きそうな目をした王子は…
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『カトリーヌと囁き森』【第6回】智佳子 サガン
奇病にかかった夫人に「きっと役に立つ」、きれいな一冊の本
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『ヒミツのレクイエム』【第10回】氷満 圭一郎
「単なるゲームではなかった」救いを求めつつ、若さゆえの愚かな行為に没頭する19歳の私
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『ヒズミのなかの住人たち』【第6回】葉 リヒロ
【小説】データが処理しきれず熱くなる体「これは悲しいのか、嬉しいのか、怒りなのか」
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『星空の下で』【第6回】つむぐ
背中を押してくれた先輩の言葉。お礼を言いたいのに…「どこに行ったのですか、先輩」
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『繁殖犬になった華ちゃんのおはなし』【第6回】珠生 満ちる
【絵本】「いい子ね!」から一転…飼い主が子犬を遠ざけた理由
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『奇想・追想・烏兎怱怱』【第2回】無才 安
感銘を受けるほどの漫才に会場は静寂無音。観客の「面白くても笑ってあげない」のワケ
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『透視男』【第2回】上田 晄暉
「一体全体どうなっているんだ?」“憑き物”が見えるようになった男の混乱
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『善悪の彼方に』【第2回】叶浦 みのり
【小説】わたしが空白の四時間の謎、もう一度調べてみる!「はぁあ?」
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『レッド・パープル』【第2回】そのこ+W
【小説】「戦争の体験」――あの事件を避けて自分の青春を語ることは許されない
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『ぼくの地球』【第2回】織部 和宏
【小説】その姿を一目見て…「彼は青春の彷徨の末にある境地に達した」