一か月位経った頃から、もう目は閉じたままになり、時々呼吸が弱くなり、乱れる様にもなった。「もうあまり生きられないだろうか」そんな事を思いながら、病院に向かう毎日。面会しても明日彼が生きているかは、分からないのだと思うと、自分自身が多少疲れていても、体調が悪くても、病院に行かないという選択肢は無かった。又彼も必死に生きようとしていたからだ。六月に入ると、呼吸が安定しない日が多くなり、時々酸素マスク…
[連載]あなたがいたから
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エッセイ『あなたがいたから』【第18回】坂本 りの
胸騒ぎがして遅くまで病室にいた私。「今までありがとう」と夫の耳元で言って帰ってきたその日の夜、夫は天国に旅立った
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エッセイ『あなたがいたから』【第17回】坂本 りの
【死】への階段を一つ一つ上っていってしまう夫。次第に右手が動かなくなり、左手も動かなくなり、目も開けなくなっていく...
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エッセイ『あなたがいたから』【第16回】坂本 りの
家で看るのは大変になり入院する前にとグループホームにいる彼のお母さんの所へ連れて行くと…
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エッセイ『あなたがいたから』【第15回】坂本 りの
「分からない、何もかもが分からない」初めて見せた大粒の涙姿の夫。あの時抱きしめて慰めてあげられなかったことが今でも…
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エッセイ『あなたがいたから』【第14回】坂本 りの
治療で言葉がうまく出てこない夫。彼が今どう思っているのかを知りたくて…
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エッセイ『あなたがいたから』【第13回】坂本 りの
消えた再発部分。安堵のはずが芽生え始めた「死」への意識が押し寄せてきて…
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エッセイ『あなたがいたから』【第12回】坂本 りの
あまりの進行の速さに愕然。一縷の望みをかけサイバーナイフ治療に奔走
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エッセイ『あなたがいたから』【第11回】坂本 りの
最も恐れていた【再発】が現実に…。あまりのショックで暫く立ち直れなかった
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エッセイ『あなたがいたから』【第10回】坂本 りの
夫の病気を忘れるくらい…家族で見たラーマーヤナの荘厳なバリ舞踊
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エッセイ『あなたがいたから』【第9回】坂本 りの
事故、出血性胃潰瘍、結石…。夫のためにできることはやりきった。
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エッセイ『あなたがいたから』【第8回】坂本 りの
凍えるような寒い日。長男は風邪から痙攣をおこし、入院した先でも水疱瘡や肺炎に…
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エッセイ『あなたがいたから』【第7回】坂本 りの
「こんな贅沢して良いのかな」若き日の夫との幸せな思い出
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エッセイ『あなたがいたから』【第6回】坂本 りの
テレビ、新聞から離れていく…「世の中の出来事」に感心をなくした夫を見て思ったこと
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エッセイ『あなたがいたから』【第5回】坂本 りの
手術は成功!夫の無事に喜ぶもつかの間…「余命は長くて二年」
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エッセイ『あなたがいたから』【第4回】坂本 りの
帰ってきた彼の様子がどこか変で「悪性か良性か分かりませんが、腫瘍ができています」
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エッセイ『あなたがいたから』【第2回】坂本 りの
「猫にもこの様な感情があるのだ」…野良猫と触れ合い気付いたこと
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エッセイ『あなたがいたから』【第2回】坂本 りの
占い師に野良猫の世話をしていたと見破られ…「守られている」
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エッセイ『あなたがいたから』【新連載】坂本 りの
〈さとさん〉はいつもきれいだった明治生まれのおばあちゃん