【前回の記事を読む】〈さとさん〉はいつもきれいだった明治生まれのおばあちゃん

あなたがいたから

さとさん

〈さとさん〉からは、色々な事を教えてもらったのに、一緒にいればいる程、うっとうしいと思う事もあり、優しい〈さとさん〉に向かって、時々酷い事も言ってしまったなと、今になって反省しているのです。〈さとさん〉は、私が実家を出てから亡くなり、最後を看取る事もできませんでした。結局謝る機会も無く、〈さとさん〉は、天国に静かに旅立ってしまったのでした。

申し訳ない気持ちでいっぱいになり、空を見上げては、

「あの時はごめんなさい」

と、いつも囁いていました。

「さとさん、貴方の星はどれなのですか?」

と。私をじっと遠くから見ていてくれる人がいる。それが〈さとさん〉だったのです。

何故さとさんだと分かったのかというと、ある時彼女の気配を感じたからなのです。

「さとさんだ」

と、思わず大きな声で叫んでしまいました。〈さとさん〉は、主人である彼と出会う一年半前位に亡くなってしまったので、出会う事はなかったのです。 

又〈さとさん〉の守護霊に、守られていると伝えられて懐かしく思い出したのは、たくさんの野良猫達のお世話をしていた日々でした。占いの方に呼び止められた日から、本当に野良猫達と過ごした十年位の日々が、最近懐かしく思われて仕方ないのです。

「猫をそんなに飼っていたのですか?」

と言われびっくりしたのです。

「一匹も飼った事は無いのですが、野良猫を十二、三匹、十年位お世話していたのです」

と伝えました。すると

「なる程、そうでしたか」

と、占いの方は感心した様に言い、

「十年もの間、野良猫をお世話するなど、素晴らしい事ですよ。普通の人はその様に長くみられないです。それで貴方への恩返しとして、貴方の守護霊になって、いつも貴方の事を遠くから見守ってくれていますよ。守られているという感じはありませんか?」

と言われたのです。そういえば、いつも誰かに見守られている気がしていたのです。