(六)脈が止まり、上下に振れなくなった心電図のライン。ブルっと、身震いした。この春、このタンクに落ちて、ひと一人亡くなったのだ。タミ子も同じ思いなのだろう、ジッと記録線を見つめている。瞬きもせず、視線は厳しい。「秀造さん、ここに見えてるので、何日分なんだい?」「まる一日分、ちょうど二十四時間になりますね。おかあさん」「なるほど。前の日の朝から、当日の朝までってことだ。多少の波はあっても、もろみは…
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