俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.11.13 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第42回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 絵に描きし母の面わを二人子は 彩消ゆるまで撫でていとしむ 妻も子も前田利家の血筋ゆゑ 潮路を越えて援ありけり 白米の七十俵が届くころ 沖に白帆の立ちて見えくる
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『高校生SM 』 【第2回】 大西 猛 私の体を滅茶苦茶にしたあの人は、さえない中年の教師だった。前の席の女子が思わず「キモイんだけど」と漏らすような。 あの人は私が通う高校の教師だった。高校は県でも有名な進学校で、周囲を田んぼに囲まれた小高い丘の上にあった。文武両道を掲げる校風で、広い敷地には野球場から陸上競技場、テニスコート、武道場まで整備されていた。特に野球部はかつて甲子園に出場した実績があり、春夏の予選会ともなると、学校中、さらには町の期待を一身に浴びるほど有名だった。あの人とはじめて会ったのは入学して最初の授業である世界史だった。第一印…