鴇子がいなくなっていたことで何気なく棚を見回しているうちに、これらの物たちに逆に見入られてしまっていたのだ。気付くと、時間がずいぶん経ってしまったようだった。ぼくはこのとき、誰かの視線を感じた。ぼくは辺りを見回した。柱時計の振り子が刻む音だけが聞こえる。恐る恐る棚の向こうを覗くと、夥しい数の人形がいた。ぼくは息をのんだ。人形たちはみな金髪の少女で、ひらひらのついたレースや、つやつやのビロードのド…
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