第2章 障害のある子どもの理解
保育園等でのSLD
保育園等では、文字や数字を指導する教育課程(カリキュラム)はありません。遊びの活動が中心ですから、一見するとSLDは存在しないように思われます。
ただ、幼児教育の段階で文字や数字に対する興味関心は育てる必要があることが『幼稚園教育要領』や『保育所保育指針』に示されています。小学校に入学する段階でほとんどの子どもたちは文字や数字に対する興味関心が育っており、ある程度の文字を読んだり書いたりできるようになっています。言葉や文字、数に対する興味関心がない場合には、小学校に入って初期の段階で勉強に遅れ、ますます勉強嫌いになっていくことが考えられます。
言葉の素地づくり
SLDでない子どもであっても、早い時期から言語能力を伸ばしていくことに、なんら異論はありません。しかし、SLD予備群の子どもは、幼児期から言葉に対する興味関心が低い状態でいます。そう考えると、じつは小学校からではなく、幼児教育からの問題でもあると考えられます。
読み書き障害(発達性ディスレクシア:DD)を幼児の段階で見つけるには、次のような症状があるか観察します。
①絵本を聞こうとしない。文字や数に興味を示さない。【文字関心】が薄くないか? 文字を読むことに関心がない。文字や文字らしきものを書きたがらなくはないか? 書く事に関心がない