第2章 障害のある子どもの理解
⑶自閉症スペクトラム障害(ASD)
感覚統合法
感覚の重要性をふまえた運動中心の指導法の一つに、感覚統合法があります。1960(昭和35)年代にアメリカの作業療法士のJ・エアーズが、感覚のそれぞれに統合障害や歪みがある場合、子どもの発達に影響を及ぼすと考えました。
人間の感覚は、生きていくために身体の物理的状態や周囲の環境についての情報を教えてくれます。感覚情報が目や耳だけではなく身体のあらゆる場所から、瞬時も休まずに脳に入ってきます。
人が移動、学習、行動などを正確におこなうには、脳はこれらすべての感覚を統合しなければならないと考え、その療法を確立したのです。この感覚統合法では、感覚の発達過程を段階でとらえながら治療します。出生から2歳頃の段階では母親からの授乳、抱きしめられることで「触覚」が刺激されます。