第2章 障害のある子どもの理解
障害とは?
私たちは日常的に漠然と「障害」という言葉を使っています。しかし、「障害」とは一体どのような状態をいうのでしょうか?
たとえば、運動で足を骨折した人が松葉杖で移動することなどはよく見られる光景です。そのときは、障害というものを明確に意識できます。
しかし、その多くは時間がたてば完治し、生活に支障はなくなっていきます。すると障害のある状態は消えてしまいます。
また、視力が0.3以下の弱視であったとします。すべてのものがボヤけて見えますし、車の運転もできません。
生活全体に不便さを感じます。眼鏡やコンタクトレンズがなかった時代、つまり貧しい(プアー)環境では、日常生活を送るうえで「障害」があることは想像できます。
ところが、眼鏡が発明され社会一般に普及することによって簡単に視力を回復できます。そうなれば、そこに障害のある状態はなくなってしまいます。
しかし、いくら度数の高い眼鏡をかけても、視力が回復できないこともあります。その場合は「障害がある」ことになります。
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さて、生まれつき腕がなかったり、交通事故などで後天的に目や足を失ったりすることは、その時点で障害が固定され、いつか完治するということはありません。身体にあるべきものがない欠如や欠陥がある場合は、「障害児(者)」とされてきました。これは「医学モデル」という障害観です。