病棟業務
「手術中に死ぬこともあるんですか?」
奥さんが尋ねる。
「ないとは言えません。しかし、そうしたあらゆるリスクを考慮して我々は手術に臨みますし、その上で手術が最善の治療だと判断しております。術前検査で全身状態に特に問題がないことを確認しておりますので、過度に心配する必要はありません」
「分かりました。お任せしようか」
「そうだな。お願いします」
本人も納得してくれたようだ。
「では以上で説明を終わります。明日はよろしくお願いしますね」
こうして手術の説明を終える。ICとセットで使われる用語に「セカンドオピニオン」という言葉がある。セカンドオピニオンとは直訳すると「第二の意見」となる。
患者さんは医者からICを受けても納得がいかない場合、別の医者に意見を聞くことができる。セカンドオピニオンは患者さんが納得のいく治療を選択するためのものである。
医者は学生の頃からセカンドオピニオンの重要性について学んでおり、患者さんから要望があれば不本意であったとしてもほかの先生に紹介状を書かなければいけない。それくらいICで納得することは患者さんにとって重要なこととされているのだ。
ICは医者にとっても重要である。ICが不十分なまま手術を行い、患者さん側が納得できない事態が起こると、訴訟問題に発展する可能性もある。そうなれば、医者が不利益を被ることになる。